2020年8月21日金曜日

行動や選択をする時の判断について

買うか買わないか、行くか行かないか、するかしないか...
どのやり方が良いのか、etc...
シェイクスピアの「人生は選択の連続である」という名言がありますが、まさにその通りだと自分も思います。そして選択というのはいつも体力を使うので正直悩むことなく生きたいというのが本音です。

自分は昔から優柔不断で、選択する時は「どの選択を選べば良い結果になるだろうか」「後悔しないのはどの選択だろうか」「相手はどう思っているのか」とあらゆることを考えては”良い選択”を模索するので、いつも時間と体力をかなり使っていました。というより今でもそうです。友達の中には色んな物事を即決できる人もいたりして、即決できる人を見ると凄いなぁと羨ましく思います。

ここ数年、大学編入や就活等を経験する中で哲学的なこと(?)を度々考えるようになり、自分のことについても色々と考えています。自分の優柔不断さについても考えるようになりました。自分の場合、自己肯定感が低いために自分の選択に自信が持てない、性格的に慎重である(大胆に動けない)、良い結果を求めようとするのと後悔したくないという気持ちが強く働くという理由から多分選択するときに人一倍体力と時間を使っているんじゃないでしょうか。

この記事ではそんな優柔不断な自分が、判断をする上で最近持つようにしている思考について書いていきたいなと思います。同じように判断するのが得意ではないと感じている方のほんの少しでもお役に立てられる部分があれば嬉しいです。

行動や選択をする時の判断について


考え方が大きく変わるきっかけとなった本

一昨年、研究室のゼミの一環で『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』(ダニエル・カーネマン著)という本を読みました。これは認知心理学者であり行動経済学の始祖とも言える著者が、人の不合理な判断や意思決定プロセスについて様々な実験や研究結果をもとに解明を進めた本です。上下巻ありページ数も多いですが、この本を読むことで行動経済学に関する知識は概ね得られるといっても過言ではありません。

この本から多くのことを学びました。その中でも自分にとって衝撃的だったのは「システム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)」という考え方です。これは人の脳には2つの認知モードが存在するという考え方で、システム1というのは直感的な思考で、瞬時に判断したり少ない認知資源でタスクをこなしたりする時などに使われます。一方システム2は熟慮的な思考で、知的努力を要するタスクをこなしたり意思を持って選択・判断をする時などに使われます。

今まで自分は何事も直感ではなく論理的にしっかりと考えるべきだ、と考えていました。しかしこの本では2つの認知モードの存在を示し、それぞれの思考には利点と欠点があるのでそれらをしっかりと把握した上で判断をすべきであると書かれていました。また、(場合にもよるが)たいていのことは直感で出した判断の方が正しいということも書かれていました。後にも書きますが直感で物事を決めるのは良くないと考えていた自分にとってこの言葉と事実には驚きました(※本の中でも詳しく書かれていますが、システム1にはバイアスに惑わされたり物事を信じやすいといった欠点もあるので直感だけで判断するのは危ないです)。
他にもリスクを伴う時の意思決定やバイアスに関する話など人の意思決定プロセスにまつわる話が多数書かれており、この本を上下巻読んだあと物事の捉え方や考え方が大きく変わりました。とてもお勧めしたい本です。



判断する時に心がけるようにしていること

ファストアンドスローを読み自分でも色々と考えているうちに、判断する時は以下のことを意識するようになりました。

■自分のことを客観的に見る・捉える

自分の特性(強みや弱み、性格等)や思考パターン(○○な時に焦りがち、注目されると緊張して変な判断をしてしまう、等)を把握しておくと様々な場面において落ち着いた判断をしやすくなります。自分のことを客観的に捉えるにはメタ認知を活用することに加え、周りからどう見られているかという情報も必要であると思います。自分の場合、Twitterを使ったり周りの人のことを観察することで自分の立ち位置やどう見られているかを知り、自分について客観的に捉えています。

■直感を許容し、システム1とシステム2(直感と熟慮)の利点と欠点を意識する

多くの場合直感で思ったことの方がじっくり考えて出した答えよりも合ってたりします。もちろん、直感だけで判断するとバイアスに惑わされたりしてしまうので直感がいつも正しいということはなく、じっくり吟味した方が良い場面もあります。大切なのは直感と熟慮、つまりシステム1とシステム2の働きとそれぞれの長所・短所を理解した上で、この2つの認知モードをうまく組み合わせて判断をすることです。

■目的と動機を内省する

あらゆる場面において、自分のその時の目的や動機は何かを明確にすることは大切であると思います。何をしたいのか、何ができたら良いのか、どうしてそれをするのかといったことを明確にして内省できるようにすると自分が納得できるような、その場面に合った選択や行動をしやすくなると思います。

■できるだけ時間を空けて何度か考える
その場で決断しないといけない場合は除きますが、答えを出すまでにある程度時間をかけても良いような場合は「一度判断を出してからある程度時間を置いて再度判断し、これらの考えを組み合わせて答えを出すようにする」とより精度良く判断できるようになると思います。時間を置くと違った考えが出てきたり、思い出せなかった情報を活用して判断できるようになるので可能な限り時間を置きながら何度も考えるようにするとより良い判断ができると思います。

こうしたことを意識するようにしてから、以前と比較すれば落ち着いて・自信を持って・納得のできる判断をすることができるようになったと思います。もちろん優柔不断さが治ったわけではなく今でも判断する時は時間と体力を使ってしまうのは変わっていません。しかし、決断に全く踏ん切りがつかなかったり焦って選択して後悔するというのは多少は減ったかなと思います。

あと、色々と書いてみましたが「自分にとって良い結果となるような選択をする」ことと同じくらい「選んだ選択を良い方向に持っていくという考え方」も大切だと思うので、選択を間違えたらそこで終わりになるとは思わない方が良いかなと個人的には思います(自戒の意味も込めて)。



余談

自分は「悩むならやって後悔」という言葉があまり好きではありません。言いたいことは分かるのですが、何事もとりあえず"する"という選択を選べば良いとは限らない("しない"という選択をした方が良い場面も結構ある)のとすべきかしないべきかはその場面によると思うので、結局は自分が持つ選択肢や情報を吟味した上で、その時の自分の目的や感じたこと・直感、自分を客観視する(自分の強みやできることは何かを考える)、といったことを踏まえて判断を行うべきなのではないかと思います。

ここで自分が言いたいことは、悩むのに疲れて思考を停止させてとりあえずしとくかみたいに考えるのを習慣化してしまうのは危ないかな、ということでした。意外と”しない”という選択をするのも勇気がいるので、違和感を感じたりしたら動かないでおくというのも立派な判断であると自分は思います。「これはいける」と思った時はあまり良い結果にならないけど「なんか嫌な感じがする」といった違和感は大体当たると思うので、違和感というのも重要な判断基準になるかと思います。

優柔不断さはある意味自分の性(?)みたいなものかもしれないので短時間で物事を判断できるようになりたいという思いは今後も持ち続けることになりそうですが、頑張っていきたいと思います。

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