2020年8月19日水曜日

Web企業に内定が決まるまでの記録



21卒である私(理系の大学院生)は2019年の冬から就活を行っていて、2020年の4月末にWeb企業の内々定をいただくことができました。正直、就活を始める前までこれといったポートフォリオもなく開発経験もあまり無い状態でした。内々定をいただくまでの流れと私がやっていたこと、就活で得た知見を共有できればと思いますので、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しいです。

自分の就活スケジュール

まず、自分が就活を始めてから内々定をいただくまでの全体の流れをまとめてみます。長いのでここら辺はざっと読み飛ばしていただいても大丈夫です。

2019(修士1年)
  • 5月:学内合同企業説明会に参加
  • 6~7月:↑で興味を持ったSIerの会社の1dayインターンに数社参加
  • 8月:ポートフォリオを作り始める
  • 9月:一応自己分析と企業分析
  • 10月:Web企業へのエントリー開始
  • 11~12月:paizaを中心に企業に応募、選考を進める
2020(修士1年 → 修士2年)
  • 12月末~1月:SIer企業のインターンシップ(1ヶ月間)に参加
  • 2~4月:paizaではなく通常選考を中心に応募、選考を進める
  • 4月末:第一志望のWeb企業に内々定をいただき、5月に承諾
各時期についてそれぞれ説明していきたいと思います。

2019 夏

修士1年になったあと、就活の準備として学内合同企業説明会に参加したり興味を持った企業の1dayインターンシップに参加したりしていました。この時点では、まだどのような業界に行きたいかやどんな会社で働きたいかといった思いはあまり持てておらず、正直SIerとWeb系との違いすら分かっていませんでした。そのためどんな会社があるのかを見たり、就活の雰囲気を感じておきたいと準備する気持ちで動いていました。

ただ今となって思うのは、「何となく参加しておいた方がいいのかな」という気持ちであれこれ合説やインターンシップに参加するのはあまり良くないと思います。行きたい企業や業界が定まっている・企業の担当の人に色々と聞いてみたいことがあるという状態でない場合、企業の情報はインターネットである程度知ることができるのでまずはウェブ上で情報収集することをした方が良い気がします。

・SIerとWeb系の違い
余談ですが、就活前まで自分自身違いが良く分かっていなかったこの2つの企業について少しお話ししたいと思います。なお、学生である自分が情報収集して自分なりに捉えた解釈なのであくまで参考程度に見てください。

SIerもWeb系もどちらもIT企業ですが、主な違いとして
SIer(システムインテグレータ):システムの構築・導入を行う会社(例:NTTデータ、富士通など)
Web系:アプリ開発等、自社サービスを運営・提供する会社(例:ヤフー、LINEなど)
つまり、ざっくりとですが「依頼を受けてシステムを作ったり導入を請け負う会社」がSIer、「インターネットを活用して自分たちでサービスを作って運営する会社」がWeb系であると言えます。他にも細かい違い等はありますが、自分からは説明を控えて他の方に説明をお願いしたいと思います。以下に参考となるサイトを載せさせていただきます。

SIerとWeb系、どっちがおすすめか?【両者のリアルをエンジニアが徹底解説】

「SIer」と「Web系」実際のところ、本当はどっちが良いんだろう?両方の違いや転職事情についても詳しく知りたい。 今回はこのような疑問に対して答えていきます。 「SIer」と「Web系」...



一言にIT業界といっても様々な業種の会社があり、仕事や求められるスキルも大きく変わってくるので大切なのは「自分がどんな仕事をしたいのか・どんな人材になりたいのか、どんな会社で働きたいのか」を明確にし、業界に対する理解を深めておくことです。是非その点は押さえておいてください。

・ポートフォリオの作成
8月頃に夏のインターンシップにいくつか応募していました。応募フォームを見ると大抵の会社でポートフォリオの有無を聞かれたり提出を求められたのですが、自分には出せるようなポートフォリオが無かったので何も書くことができませんでした。結果応募したインターンは全て落ち、この時ポートフォリオの大切さを痛感しました。そこですぐにポートフォリオ作りに取り掛かりました。Pythonが好きなのでPythonとKivyというGUIライブラリを用いて音楽プレーヤやカレンダーアプリを作りました。それぞれ2週間、1週間近くかかりましたが、後々このポートフォリオが面接等で話のネタになったりと活躍します。

Web企業を志望するのであれば、ポートフォリオはあると有利になるので是非作っておくことをお勧めします。どの職種や企業を志望するかにより作るべきものは変わりますが、多くの企業で「これまでの開発経験」を聞かれたりポートフォリオの提出を求められたりするので早い段階で作っておいて就活に備えておきましょう。


2019 秋~冬

Web企業は早いところだと9~10月からエントリーを開始するところもあるので、Web企業を志望する場合はこの段階である程度エントリーシートやポートフォリオを完成させておく必要があります。自分も9月にそれっぽく自己分析をしてESを作り、10月から興味を持った会社にESを送り始めました。同時に研究室の先輩からpaizaの存在を聞き、Aランク問題を解いてpaiza経由でも並行して応募していました。

・paizaのカジュアル面談
「paiza」はpaiza株式会社が運営する転職・就活サービスで、事前にプログラミングの問題を解いてその結果及びコードを元に、書類選考なしで面接やカジュアル面談に進むことができます。解いた問題の難易度に応じてランクが決まり、自分のランクに応じた企業に応募することができます。
Aランクだったので一部応募できない企業もありましたが、それでも多くの会社に応募することができました。自分はpaizaを使ってナビタイムジャパンやモバイルファクトリー等数社に応募し、いずれも書類選考なしにカジュアル面談に進むことができました。

ITエンジニア・プログラマ向けの転職・就活・学習サービス【paiza(パイザ)】

ITエンジニア・プログラマ専門の総合求職・学習サイト【paiza(パイザ)】。プログラミングスキルチェックで実力を可視化し、スキルがあると認められれば書類選考不要で即面接へ進めます。学歴や職歴ではなく「技術がある人」が評価されるサービスです。


paizaのカジュアル面接の時のことについて簡単にお話しすると、会社にもよりますが最初に会社説明をしてくれたり社内を軽く見学させてもらえることがあります。その後で雑談形式で話をしていくのですが、どの会社でもこれまでの製作経験や大学での勉強内容、研究内容など色々聞かれたので、実質一次面接みたいな感覚でした。カジュアル面談で評価されると、エンジニア面接や二次面接の案内が来て選考が進んでいきます。

結局、paizaで応募した会社は全て落ちてしまったのですが何度も面接を受けることができたのでかなり良い経験になりました。というのも応募しても書類選考で落ちてしまうと面接すら受けることができずに終わってしまうので、書類選考なしで面接を受けることができたのはとても有難かったです。またpaizaで応募すると相手から面接のフィードバックをもらうことができるので、落ちてもなぜダメだったのかを知ることができます。自分の場合「技術力が求める基準に満たしていない」「エンジニアになって何をしたいのか明確でない」といった理由で落ちたのですが、それを受けて志望理由を考え直したりできたのでFBをもらえたのは良かったです。

しかし、友人から指摘されて一つ思ったのですが、paizaの場合「即戦力になるかどうかで見られている」ために求められるスキル等のハードルが高い気がしました。実際、面接でも結構技術力を見られているなと感じることが多かったです。通常のルートと比較すると即戦力になるかどうかを見られる可能性がある、ということに留意した上で利用すべきかなと思います。裏を返せばプログラミングスキルが高い人にとってはかなり有利に就活を進めることができるサービスだと思います。

・ESの添削と面接練習
paizaでも通常応募でもこの時点で落ちまくっていたので、11月後半~12月は大学の就活支援を行っている場所でESの添削と面接練習を行ってもらいました。面接についてはpaizaで何度もやっていたので、どちらかというとESの添削をメインにやってもらいました。就活支援センター等は1月になると予約で常にいっぱいになってしまうので、行くことを考えている人は10~11月頃はかなり空いているのでお勧めです。

・研究室の投票システムの製作
研究室の教授から言われ、6月頃から同期とゼミで使用する投票システムを新たに作っていたのですが12月頃に大方完成させることができました。自分は投票画面を担当し、一人はデータベース(Firebase)、一人は結果画面の作成をそれぞれ担当していたのですがチームで何かを作るという経験をしたことがなかったので、進捗管理や実装方法の相談など逐次連絡を取り合う必要があるのが結構大変でした。でも完成時の達成感は大きく、チームで何かを作る楽しさを実感できました。なおWeb企業の面接でも「チームでの開発経験について」はよく聞かれるので、可能であれば誰かと一緒にプログラムする・システムを作るという経験をしておくと有利になります。

・SIerのインターンシップに1ヶ月間参加
12月の後半から1月にかけて、マイナビでたまたま見かけて興味を持ったSIerのインターンシップに1ヶ月間参加しました。開発経験が少ないことに対して以前から危機感を感じていたことと、SIerの仕事について理解を深めたかったので参加を決めました。業務内容としてはWebシステムの機能実装・不具合箇所の修正についてアサインされたタスクをこなすという感じでした。AngularJS(サーバー側の処理はJava)で実装と修正を行っていたのですが、冗長な書き方をしたり変数名が分かりづらかったりすると「こうした方がいいよ」とアドバイスをいただけて、仕事でコーディングする時の注意点等を学ぶことができました。短い期間でしたが良い経験になりました。

2020 冬~春

この時点で応募した会社(20社近く)全てに落ちています。しかしこの数ヶ月で「ポートフォリオ」「チームでの開発経験」「企業での開発経験」「面接を何度も受けた経験」を得たので、この経験を元にさらに就活を進めていきます。

・サポーターズの1on1面談イベントに参加
研究室の友人の話を聞いて興味を持ったので3月にサポーターズの1on1面談イベントに参加しました。これはWeb企業が複数参加し、1日の間に最大8社と面談を行うことができるというイベントでうまく行けばインターンや選考に関する案内をもらえたりするそうです。本来であれば会場に集まって他の就活生と情報を共有したりできたのですが、オンラインでの実施に急遽変更となってしまいました。

当日の午前中に各社の説明を聞いて面談を行いたい企業を選び、サポーターズ側でマッチングをしてくれて午後から面談開始となります。5~6社くらいになるかなと思っていたら自分は8社面談することになりました。この時点ではまぁ良いかと思っていましたが、実際に8社受け終わった後あまりの疲れに死ぬかと思いました。このイベントを受ける場合は体力を相当使うことをある程度覚悟する必要があるかもです。なお毎回自己紹介をする時間があったので自己紹介スキルはかなり身につきました。

サポーターズ2022|インターンシップ・就職活動支援・地方就活

サポーターズ2022は、IT企業、ベンチャー企業の就職活動の支援に特化したサービスです。就職活動を進める度に支援金がもらえる地方就活生のミカタです。就職活動に役立つ情報が満載。


・就活サービスを活用して色々な会社に応募
昨年の10月頃からLabbaseやiRoots、Offerboxに登録しており、度々オファーをもらっていました。逆求人型のサービスは自分のプロフィールを完成させておけば興味を持ってくれた会社からオファーをもらうことができるのでとてもありがたいサービスです。あとこのサービスを使うとWeb企業を探しやすいので便利でした。これらのサービスに加え、2月後半からサポーターズにも登録してそこに掲載されている企業にも応募もするようにしました。なお、自分が最終的に内々定を承諾した会社はサポーターズがきっかけで応募しました。

・滑り止めのために何社かSIerを受けていた
夏に1dayインターンに参加していたSIerの会社と12月からインターンシップに参加していたSIerの会社については選考が結構進んでいて、2月の時点でどちらも二次面接が終わり次に進むという状態でした。両方ともインターンシップに参加していたおかげで選考も有利に進めることができ、結果として3月と4月にそれぞれ内々定をいただくことができました。内々定が一つも無い状態だと不安と焦りからメンタルが不安定になるのは序盤から予想していて、それに加えて最終的に選択肢が無くなってブラック企業に行くことになるのだけは避けたかったので「確実に一社からは内々定を早い段階でもらっておく」ためにもこの二社は受けていました。実際に内々定を一社からもらえているという安心感はその後の就活でも支えになったので、滑り止めという選択肢を持っておくことは大事だと思います。もちろん滑り止めはどんな会社でも良いというわけではなく、自分の求める基準をある程度は満たしている会社を選ぶようにしてください。

・第一志望群の会社の選考を進める
3~5月は自分の中で第一志望群である会社の選考を含めて複数社進めていました。この時点でほとんどの会社がオンライン面接になっていたのですが、相手のリアクションが判りづらかったりと初めのうちはやはり慣れなかったです。でも会社に行かなくても面接を受けられるのはやはり良いなと感じました。あと自分はこの時期4社近くを並行して選考を受けていたのですが、あまり多く受けすぎると一社一社に労力を割けなくなってしまう(友人は同時期に5社以上受けたら大変だったと言っていた)ので選考を受ける会社の数は意識するようにしてください。
関係ないのですが第一志望群という言い方は便利だなと思います。第一志望では無い会社に志望度を聞かれたときにどう返せばいいか分からなかったのですが、この言い方を面接練習の時に教わってからは返答に困らなくなりました(どうでもいい)。

結果として4社から内々定をいただくことができました。第一志望群の会社の全ての面接を受けてから判断したかったので承諾まで少し時間をいただきましたが、自分のやりたいことと会社のやっていること・事業目的が合っている場所はどこかをじっくり考え、選考を受けている時からここが良いなと思っていたWeb企業に行くことに決めました。


就活で得た知見

長くなってしまいましたが一通り就活の流れをまとめてみました。結局自分が何を言いたいのか、就活の経験の中で自分が感じたことをいくつか共有したいと思います。

■闇雲に就活を始める前に、まずは自分はどのような会社でどのような仕事をしたいのかというビジョンをある程度固められるようにすると軸や志望理由が定まりやすい。また志望する業界・職種について、実情も含めて詳しく調べて本当に自分に合いそうかもよく見ておく

最初のうちは難しいですが、色々な会社の面接を受ける中で見えてくるかと思います。自分も最初は働くことに対してビジョンを持てておらず、どうなりたいか・何がしたいかが明確ではありませんでした。いろいろな会社の面接を受けているうちに明確にできるようになったので、今はあまりビジョンを持てていなくてもOBOGや先生、友人等色んな人の話を聞いたり、様々な会社の面接を受けてみると少しずつ見えてくると思います。

あと業界・職種についてもよく調べた方がいいです。自分は学部生の時はゲーム会社に就職したいと思っていたのですが、ゲーム業界の人の話を聞いているうちに自分のやりたいこととは違う・自分には合わなそうと感じるようになりました。よく調べると思っていたのと違うと感じることもあるので確認しておきましょう。



■ポートフォリオと開発経験はあるとかなり有利になるので、早いうちからなりたい職業のポートフォリオを作成したりインターンシップやアルバイト等で開発経験をできれば積んでおいた方が良い

Web企業でもSIerでも個人/チームでの開発経験は基本的に聞かれ、ポートフォリオやインターンシップ・アルバイトの経験があると評価してもらえるので是非作っておきましょう。



就活は早く動き出せば出すほど有利になる(採用の前年の4月からインターンシップを実施するところもある)

年が明けてからだと基本的には遅い(特にWeb系の場合は大手は9~10月から開始しているところもある)ので、遅くとも夏頃から準備した方がいいです。あとインターンシップを前の年の4~5月に実施する会社も中にはあるので、行きたい会社が決まっている場合はインターン情報も早い段階から確認しておいてください。



■採用されるかは会社との相性次第であることを認識しておく。そのためにも「自分について:自分は何をしたいのか、何ができるのか「会社について:その会社はどのような人を求めているのか、どのような人が働いているのか、どのような仕事をしているのか」の二点を把握し、自分に合う会社かを見極められるようにする。志望理由についてもこの二点を擦り合わせて話せると説得力が増す

「就活は恋愛に似ている」という話を度々聞くように、最終的には相性で決まると思います。いくら実力があっても相手に自分たちとは合わないと思われたら全然落ちるという話は聞くので、結局は相手との相性次第で決まるということは意識しておいてください。

あと新卒入社の場合、面接では自分の力とポテンシャル・今後の伸びる可能性をアピールすることが大事(今後どのくらい伸びる・活躍できるかという可能性を見せた方が採用率が上がるという話をメンタリストのDaiGoさんがしていました)です。会社は採用して自分たちにとってプラスになる人間を採用するので、自分の強みと弱み、会社が求める人材等をしっかりと把握した上でアピールしましょう。

補足として、「自分は何ができるのか」を考える際は他人と比較して秀でていることやスキル・得意なことは何かで考えるよりも
  • 好きでやっている
  • 長期間やっていて苦にならない
  • 自然に・自発的にやっている
ことは何か、という観点で考えてみると見つけやすいと思います。上記の観点で普段やっているようなことは、自分では特別なことに感じてなくても他人から見たら「凄い」と思われていることだったりします。もし何ができるのかが思いつかない場合は是非参考にしてみてください。



「落ちても気にしない。あと人は人」精神も大事

就活をしていると周りの友達が先に内々定をもらったり就活を自分よりも先に終える、というのは出てくると思います。あと就活が長引くと家族から就活どう?と聞かれるようになるかもしれません。

周りの話を聞いて焦り過ぎてしまうと判断力が弱まったり集中できなくなってしまうかもしれません。就活はあくまでも自分のためにするものなので、周りの人の話は参考程度に聞きつつも自分のペースで、自分の考えの下で進められるようにしてください。



長文になりすぎてしまいましたが、自分の経験と伝えたいことをまとめてみました。他にも、先日研究室の後輩から就活について相談を受けたのですが、その時の内容を記事にまとめているのでもし良ければそちらも参考にしていただけたらと思います。

少しでもお役に立てればとても嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございました!

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